2019年夏ドラマ

【これは経費で落ちません!】最終回(10話)のあらすじネタバレと感想!経理部よ永遠なれ!

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ドラマ「これは経費で落ちません!」最終回(10話)が2019年9月27日(金)に放送されました。

業界大手のサンライフコスメに買収されるのでは⁈という仰天の情報が駆け抜けた天天コーポレーション。

経理部も、経費削減の波にのまれ、アウトソーシング化という話が出てきて、森若さんたちも心穏やかではありません…。

ここでは、「これは経費で落ちません!」最終回(10話)のあらすじ(ネタバレ)と感想、視聴者の声を紹介していきます。

【これは経費で落ちません!】最終回(10話)のあらすじ(ネタバレ)

プロポーズしたのに!?

「お、俺と結婚してください!」

勢い余ったあの言葉の余韻がまだ残る森若さんと太陽くん(重岡大毅)。

“プロポーズされたのに…___あんまり嬉しくなかった”
“プロポーズしたのに…___全然嬉しそうじゃなかった”

大切なところで噛み合っていなかった二人は、会社の中でニアミスしても、どこかぎこちなく、いつもとは違う空気が漂っていました。

“本当に好きなのに…太陽くんのこと”
“沙名子さん…本当に俺のこと好きですか…?”

背中合わせの二人は“好きなのに___”という感情に振り回されて、大切なことを見失っているかのようです。

決めたら即!

格馬専務(橋本淳)の人事権の大ナタがまたさく裂し、前回の営業部・吉村部長の沖縄転勤に続き、今度は広報課の皆瀬さん(片瀬那奈)がショールームに異動になりました。

広告塔として燦然と輝いていた彼女でしたが、“天天ガールズ”の採用で世代交代か?!と周囲は言いたい放題です。

多少の問題こそあれ、それなりに実績を叩き出していた皆瀬さんですらこの扱い…アウトソーシング化で自分の身分すら危ういと気づき始めていた森若さん、そして真夕(伊藤沙莉)や麻吹さん(江口のりこ)も戦々恐々の中、新発田部長(吹越満)が新しい話を持ってきました。

「来年のお話なんですが!」

天天コーポレーションでは三年に一度“天天祭り”というイベントを開催します。

自社製品のバーゲンや、新商品の発表、飲食の屋台、ステージショーなどがあり、地域貢献として昔から行われてきたお祭りでした。

その予算申請をしたいので、資料を作って欲しい、と新発田部長は言うのです。

真夕たちはドキっとしました。

この会社に“来年”があるのか、と。

経理部女子三名の視線は鋭く新発田部長を射抜いていました。

「怖いなぁ…」

真夕が立ち上がって声を上げたのです

「部長!本当のことを言ってください!」
「それは、どういう…」
「私、嫌です!ここが無くなっちゃうの」

森若さんも隣に並びました。

「私たち、見てしまったんです」

麻吹さんがとどめのように鋭くえぐり込みます。

「ボスたちが、サンライフコスメの方たちと密談しているのを…!」

吉村部長が沖縄に転勤になったのも、何かの陰謀なのでは?という彼女らに、勇さん(平山浩行)が「それは単に専務の判断だ」と捕捉しました。

実際、営業成績はこの数か月下落の一途をたどっていた、というのです。

「新発田部長!今、天天コーポレーションでは何が起こっているのですか?」

森若さんの静かな問いに、新発田部長は観念したように唇を引き結び、頷いたのです。

それは、生き残りをかけた戦い

「改革です」

この数か月、水面下で行われてきたことを、新発田部長は語り始めました。

総務部の新島部長(モロ師岡)は、実は格馬ら社長一族とは親戚関係にあり、既に半年前から彼が専務に就任すること、そして彼らが考えている新事業を始めようとしていることを知っていたのです。

天天コーポレーションでは社運を賭けた“DNAせっけん・基礎化粧品”という新しい製品のラインを作ることを検討していました。

これは、ユーザーがそれぞれのDNAを採取し、そのデータから一番適合した製品をオーダーメイドするというプランです。

この製品は日本でも研究が始まっていましたが。

実は格馬はアメリカで既に確立した技術を持ち帰っており、それをベースにした新製品を打ち出そうとしているというのです。

「良く解らないけど、私は天天石鹸で十分です…」

真夕は長い間ずっと最も古典的な自社製品を愛用しているのです。

格馬が専務就任以来各部署に命じている厳密な経費削減策は、そうした新商品開発のための資金調達だった、と…格馬の新事業の概要を知る勇さんも新発田部長の話に補足説明を加えました。

「しかし、それとサンライフコスメの話がどうつながるのですか…?」

麻吹さんが言うと、新発田部長は穏やかに言いました。

「大丈夫、ここから繋がります」

新発田部長はまず、経費削減のプランにあるアウトソーシング化について語り、経理部がその対象候補になっていることを話し始めました。

森若さんはそのことを承知していましたが。

初耳の麻吹さんと真夕はショックを受けていました。

「移動か、もしくは…」
「え?まさかクビってことはないですよね?」
「ですから、どうしたらアウトソーシングを阻止できるか、私たちは話し合ってきました」

専務室で、新島部長と一緒に、新発田部長も何度も格馬専務に掛け合ったのですが、人を大切にすることでつないできた事業の業績が芳しくないことで…ばっさりと切り落とされてしまっているのです。

そこで、有効な手段として新島部長が考えたのが、サンライフコスメに買収してもらう、という方法でした。

安定した組織と潤沢な開発費で新製品が作れる可能性が広がり、収益が上がればアウトソーシング化もしなくていいのではないか?と。

勿論、その買収に関わる権限を、部長たちは持ち合わせていません。

その権限をもつ格馬に如何にしたら納得してもらえるか。

まさに新島部長は今、買収プランを専務室に持ちこみ、話をしているさなかでした。

「正直意外でした。あなたからこんなに突飛な意見がでてくるとは」

旧知の親類でもあり、父親と同類の古いタイプのビジネスマンだと格馬は思っていたのです。

「一つだけ忠告させてください」

新島部長は言いました。

「時代は変わっても、人の心は変わらない…私は、そう思います」

有本マリナの暗躍

社長秘書のマリナは経理部とは因縁浅からぬ関係というべき存在でした。

その彼女が、今回、サンライフコスメとのやり取りで暗躍しているのではないか、と森若さんは考えていました。

事実、部長たちがサンライフコスメの執行役員である土井氏(宇納佑)と飲んでいたクラブで働いていたマリナ。

その店を指定したのは土井だったということですが。

マリナとはクラブの客とホステスという関係でたまたま知り合い、互いに身分を隠したままでつながりを持っていた、というのです。

(そんな偶然があるものだろうか?)

森若さんは不審に思っていましたが。

新島部長はそれ以上のことを知りませんでした。

そして、天天コーポレーションとサンライフコスメの間で正式に買収の交渉がスタートしたのです。

経理部の仕事から

もし、サンライフコスメの土井氏と、マリナがつながっていたのだとしたら…?

森若さんは過去にマリナが依頼した経費のデータを掘り起こし、そこにサンライフコスメの影がないか、ということを調べ始めました。

しかし、どこにも土井氏の個人名も、会社名も残されていなかったのです。

その頃…二社間で買収への両者合意がはかられました。

「買収が正式に進められることになりました」

格馬専務の主導で、天天コーポレーション社内の取締役会でも可決されたのです。

「あの…私たち、ていうか天天の社員は、本当に大丈夫なんでしょうか?」

真夕は不安をぬぐえずにいたのです。

「専務を信じましょう!」

新発田部長は静かに答えます。

そして、サンライフコスメ側による買収調査が開始されることになります。

「買収対象企業の会計、財務内容から会社の価値を確認するための、買い手企業側からの調査のことだ」

まだ経理畑の知識が浅い麻吹さんに勇さんが教えていました。

とりあえず、この買収の話が進む間は、アウトソーシング化についての話はストップになっています。

経理部は多忙化著しくなりましたが。

そんな中で、新発田部長は「営業部の苦労が解ってきた…」とぼやいていたのです。

接待で散々飲みたくもない酒を飲まされて…と言う彼の話の中で、土井が九州男児だ、という言葉がでてきました。

お酒が好きで、強いのだというのです。

「同じく、酒好きの吉村部長とは気が合っていましたけどねえ」

「吉村部長、元気かなぁ…?」

そんな真夕の呟きも届くはずがなく。

吉村部長は、あまりにもリズムとペースの違う沖縄支社の、しかも経理部長を拝命していたのです。

ゆるーい空気と適当な仕事ぶりの部下たち。

提出された領収書の扱いのいい加減さにガチ切れしながら…吉村はこれまで自分が散々やってきたことがブーメランになって返ってきていることを噛みしめていたのです。

人事は巡る

吉村の後任には鎌本(高橋洋)が“営業部長代理”として収まっていました。

これまで吉村の太鼓持ちだった彼にしてみれば大きな飛躍です。

新しい名刺を見てはニヤニヤがとまらない鎌本でした。

経理部では麻吹がFAXの使い方にもなれたことから、いつだったかマリナの不正を暴くために戦ったことを思い出し、真夕とあれこれしゃべっていたのです。

それは九州のミカド旅館とのアナログなやり取りを悪用して経費を貫流していた、というものでしたが。

森若さんの脳裏に、いくつかのワードがひっかかりました。

半年前のマリナの九州・別院温泉組合への出張、そして九州男児だという土井…。

森若さんはその時の領収書を丹念に調べ始めました。

サーバーに残っていた経理のデータ、そしてファイルされている紙の記録。

そして、そこに小さな齟齬を見つけてしまったのです。

美月の告白

ランチタイムの更衣室。

森若さんは同期の美月(韓英恵)と二人でお弁当を食べて情報交換を始めました。

「延期?結婚が?」
「なんか、ちょっとゴタゴタしてて、向こうの仕事が」

…それが良かったのか、そうでなかったのか…どこか、奥歯にものが挟まったような話し方の美月は、いつものキレがありません。

「あの人、やりすぎじゃない?___あ~~もう…なんていうか~~~!」

その様子に怪訝な顔をした森若さんでしたが。

「あ~もう!めんどくさい!森若には言うね!あたしの婚約者、格馬!」

二人は学生時代から10年もの交際期間を経て結婚に辿り着こうとしていたのです。
森若さんは思わず跳び上がるほど驚きました。

「ごめんね、言わなくて…」
「いや、そんな…全然。そうだったんだ…?」
「うん、この間も格馬んとこ行って話したんだけど、やりすぎだ、って」

しかし、彼も必死で、美月の言葉すら聞く耳を持たない、というのです。

「落ち着いたらちゃんと話すよ。で、森若はどうなの?山田太陽とは」
「プロポーズされた」
「オッケーしたの?」
「まだ返事してない」
「保留?」
「…私もわかんなくなっちゃって…モヤモヤするっていうか、引っかかって…プロポーズの言葉…」

毎日私がいて、美味しいご飯があったらシアワセ___仕事がなくなっても俺が食わせる___その言葉に、美月は怒りをあらわにしました。

「ふっる!何世紀前のプロポーズ?ていうか、サイテー」

美月の言葉は明快でした。

森若さんは太陽くんに養われなくてもちゃんと生きていけるだけのスキルを持っていること。

そして、森若さんが毎日家にいて、美味しいご飯を作ることが前提になっているのか?!と。

「解って無くない?山田太陽…森若が何をもってシアワセに感じるのか、っていうこと」

「シアワセ…」

その頃、営業部では結婚が決まった希梨香(松井愛莉)を中心に“寿退社”について女子たちで盛り上がっていました。

しかし、希梨香は仕事が好きだし、止める気はさらさらありませんが、その件について婚約者と揉めた、というのです。

「仕事辞めてもいいよ!俺が食わしてやるから」

…背後にいた太陽くんは心臓が止まるほどの衝撃を受けました。

それはまさに森若さんに行ったことと同義だったからです。

「うっわぁ…サイテー!」

女子たちが口々に言う言葉に呆然としていました。

なんだその上から目線は?とか。

稼いでも稼いでなくても、夫婦は平等なのに!とか。

(もしかして俺は、とんでもなく失礼な暴言を吐いてしまったのか…?!)

その日の夕方、彼は意を決して森若さんを呼び出しました。

夕暮れ時の日本丸が見えるメモリアルパークで。

「沙名子さん、ごめんなさい!」
「え?」
「食わせるとか言っちゃって…。
でもそんな、上から目線とかじゃなくて」
「解ってます…太陽くんがそんなつもりじゃないことは。私が不安なんじゃないかって、心配してくれたんだよね、ありがとう!」
「いや、不安なの、俺かも…」

太陽くんは、初めて香港に出向することになった話を伝えました。

買収で一度ペンディングにはなっていたけれど。

それで焦ったのかもしれない、と正直に告白したのです。

「でも俺、沙名子さんと結婚したい気持ち、本当だから」
「少し待ってもらっても良いですか?返事…」
「勿論、いくらでも待つ。とっくに覚悟してるから」

頭をぽんぽんと撫でられて、森若さんは少し俯きました。

買収の件でその香港行きも一度ストップがかかったものの、買収が不成立になったら太陽は改めて香港に派遣されることになるのだ、と森若さんは理解し、そして思ったのです

(私の、シアワセ…?)

本格化する買収話

着々と進む買収関係の調査がいよいよ大詰めを迎えることになりました。

そのデータ次第で買収が進むか破棄されるか、がきまるのです。

「じゃあ、アピールのために少し数字盛っちゃいましょうか?」

真夕がおどけたように言うと、勇さんが「おい!」と…そして森若さんが「ダメ!」と即座に反応しました。

もちろん、真夕だってそんなことをするつもりは毛頭ありません。

「ここに来たばっかりの頃は勇さんと森若さんのこういう感じが怖かったんだけど、今は大好きです!」

彼女も立派な経理部のメンバーに育ったのです。

「ここで、いろんなことを乗り越えてきたじゃないですか___伝えられたらいいんですけどね…そういうの、数字で」

そう言われて、森若さんは沢山のことを思い出していました。

口をきき始めてすぐのころの太陽くんとの会話。

経理部員として如何に正しくあるべきか。

そして、つい先日にみんなで盛り上げた希梨香のノベルティ。

「本当に…伝えられたらいいのに、こういうの…数字で」

そうしてやっとの思いで取りまとめた資料が出来上がったのです。

来社した土井氏らはオフィスを見回して言いました。

「レトロで素敵な建物ですね!」

彼の実家は小さなホテルを経営していて、その内装がちょっと似ているのだ、というのです。

その日、会議室の中で提示された経理関係の資料にはなぜか彼らは興味を示さず、森若さんや真夕らのなかには違和感が残りました。

そのモヤモヤの正体は、意外なところに帰結するのです。

思わぬ犯人

太陽くんは差し入れのお返しに、頂き物のバームクーヘンを手にショールームの室田(真魚)の元を訪れていました。

その時、意外なものを目にしました。

テーブルに置かれていた室田のスマホにあった写真___それはまさに太陽くんと森若さんが見た横浜の花火でした。
しかし、それは会社の屋上から撮影した角度の写真だったのです。

まさに___森若さんのアカウントでデータが流出したその日、室田が社屋内にいた、という証拠でした。

なんと、彼女は社長秘書のマリナ(ベッキー)に命じられ、渡されたIDとパスワードを誰のものかも知らないままに使い、データを流出させた、と告白したのです。

「言うとおりにしたら、サンライフコスメの正社員にしてあげる、って」

マリナは、室田が喉から手が出るほど欲していた条件をニンジンのようにぶら下げて、言うことを聞かせていたのでした。

果たして、マリナにそんな権限があるのか…?

しかしこれで、マリナとサンライフコスメがつながっていることがはっきりしました。

流出データによって天天コーポレーションの株価が下がれば、サンライフコスメの買収に有利に働きます。

「この買収には裏がある…」

新発田部長も渋面でしたが、何度も謝る室田の泣きそうな顔に何とも言えない表情を浮かべていました。

「よく正直に話してくれました」

そう言って、彼は室田にティッシュを差し出したのです。

マリナは難敵です。
正面からぶつかって正直に話す相手ではありません。

そこで麻吹さんがとったのは、まさにブーメランともいうべき秘策だったのです。

暴かれた本性

罠を仕掛けた直後に、カツカツとパンプスの踵を鳴らして経理部に突撃してきたマリナ。

「早っ!」

真夕の呟きを無視して、彼女は麻吹さんに噛みつきました。

「何なの?あのメール!」

添付された写真は件のクラブで彼女が働いていたシーンを撮影したものでした。

「見たんですか?誤送信だから読まずに消してくださいとパソコンに付箋を貼っておいたのに」

麻吹さんがしれっと言い返しましたが、それはまさに、以前彼女が森若さんを陥れようとして使った手段でした。

「脅しのつもり?」

まさにそれはマリナが後ろめたさを持っていたことに他ならない反応だったのです。

会議卓前の椅子に座らされたマリナに、森若さんが理路整然と突っ込みを始めました。

8か月前の九州への出張の領収書の件です。

その飲食代を支払った日、本来ならば組合の会合では夜に宴会があるはずでしたが。

領収書の裏には「里山リゾートホテル 河本康晴」という接待相手の名前が記されていました。
しかし、そのホテルには該当者がいないのです。

マリナは社長直々の特別枠を任されており、その取引先に関してはアンタッチャブルである、という切り札がありました。

まさにそのホテルもその対象でしたが。

プライベートを装って太陽くんがホテルに予約を入れようと電話をし、「そういえば、経理のものがお宅の河本さんにとてもお世話になっているのでごあいさつしたい」とカマをかけて、その人物が実在しないことを確認したのです。

正しくは「しおさいホテルの土井さん」___サンライフコスメの執行役員の土井氏です。

それはまさに別院温泉組合に加盟しているホテルであり、土井氏の実家が経営している宿でした。

「お二人は、以前からの知り合いだったのでは?」と突っ込まれても、マリナは平静を装いつつ「だったら何?あなたに関係ないでしょ?何か迷惑をかけた?」と言うのです。

裏書をごまかしたのは後ろめたさではないのか、という麻吹さんは、さらに追撃の手を緩めることなく攻めました。

「この出張の時に、土井さんから、サンライフコスメに有益な情報を流してくれたら、副業先をあっせんし、最終的にはサンライフコスメに然るべきポジションを用意する、といわれたのではありませんか?」

真夕は、そんなマリナに“スパイ”という言葉を投げかけます。

ほぼ破れかぶれの状態で、マリナは開き直りました。

「もし私がサンライフコスメに転職したとしても、それは私の実力よ!土井さんは、そんな私を信頼してくれてるの!」

そこに営業の山崎(桐山漣)が颯爽と現れました。

「ああ!有本さん!お疲れ様です」

彼を見たとたんに、マリナの顔色がさっと変わりました。

「そういえば、あの件って、どうなりました?」

爽やかな口調の山崎に、真夕が「山崎さん!空気読んでください!」と囁きますが、彼の滑らかな口調は止まりません。

「有本さんの言うとおりにすれば、サンライフコスメの研究開発部に入れてくれる、っていう話です」

万事休す、マリナがフリーズして「あなた…」と声を絞り出しました。

「あっ…最高に空気読んでた…」

真夕が羨望の眼差しで山崎を見ました。

その時経理部にいた全員がマリナを見つめていたのです。

「気を付けた方が良いですよ、土井さんは、信用できない男です」

彼が取り出したスマホから流れたのは、酒に酔って滑らかになった男の声でした。

山崎の誘導に乗ってしゃべっている土井は、マリナを貶める発言をしており、当然サンライフコスメで重役秘書など務まるわけがない、と言い切っていました。

「酒は好きでも、強くないみたいですね。あ、あの時偶然ボイスメモが起動していたみたいで…!」

涼し気な口調で問い詰める山崎の言葉に、マリナはぐうの音も出ません。

「スパイは立派な背信行為だ」

勇さんの言葉に、しかしまだ諦めず、マリナは食い下がりました。

「一日だけ、猶予を頂戴!」

この期に及んで、と誰もが思った瞬間、新発田部長は机を勢いよく叩き、「解りました!」とその意向を認めてしまったのです。

反撃のマリナ

格馬専務への報告も保留にしていたその翌日、経理部に怪しげな電話がかかってきました。

遠くに、男女の会話が聞こえる者の、こちらからの呼びかけには答えない、という不思議な電話です。

スピーカーにして、音量を上げると、それはマリナが土井にカマをかけているものでした。

「何回誘っても来てくれなかったのに、どういう風の吹き回し?」

「ちょっと有給とって遊びに来ちゃった!ねぇ、土井さん!私が重役秘書になれるのって、いつぅ?」

「もうちょっと待って。今いろいろ調整してるからさ!」

マリナは、意図的にその会話を経理部の面々に聞かせていたのです。

「ねぇ、あの計画、上手く進んでるの?」

「大丈夫大丈夫!ジュニアなんてやつはね、しょせん苦労知らずのボンボンだから」

彼らはDNAコスメの技術を奪ったら、その後で格馬を失脚させ、会社から追い出す算段だったのです。

「買収さえ終われば、お払い箱だよ!」

「キャー土井さん悪ぅい!こわぁい!」

そう言いながら、マリナは胸元からスマホを取り出して言いました。

「はい!こちらからは以上よ!聞いてたでしょ?はい!ご本人と変わります!」

「はい!お電話代わりました!経理部の新発田でございますっ!」

土井は、その時全てが露見したことを悟ったのです。

勿論抜かりなく、真夕がボイスメモで録音していたことは言うまでもありません。

「ハァ――――疲れた!」

マリナは騙された振りをして逆スパイを働いたのだ、と土井に高らかに告げたのでした。

「私を甘く見てるからこうなるのよ!」

経理部では緊張の糸が切れて勇さんがため息をつきました。

「逆スパイ?…なんだそれ?」

真夕はばっちり録音を残していい笑顔です。

新発田部長はそのデータをもって格馬の専務室を訪れ全てを伝えたのでした。

頓挫した後で…

全てを知り、格馬は買収の話を取りやめました。

そこに、天天祭りの予算を取りまとめた資料を持って、森若さんが訪れたのです。

「前にも言いましたが、データはすべてメールで…」

そう言いながら、彼のぺージをめくる手が止まりました。

売り上げ予測があまりにも大きく、にわかに信じられない金額だったのです。

秋のキャンペーンで好評だったノベルティのトートバッグの第二段を、天天祭り限定で発売すること、仙台工場のアイが作る予定のオーガニックシリーズの石鹸など、超人気のラインナップで前回比350%を見込める、という試算でした。

そこへ、山崎がやってきました。

「専務、たった今、インターエレメンツホテルのアメニティの契約が取れましたので、一度専務の方からもご一報いただければ…」

それは、国内全店舗…ではなく、全世界規模で運営しているホテルチェーン全ての店舗で使用されることを意味していました。

なんと、昔ながらの天天石鹸のレトロな味わいが海外では受けるだろう、というのが決め手だった、というのです。

その場に居合わせた太陽くんは、尊敬する先輩の山崎の功績に、思わず「マジで神ってる…!」と呟くのでした。

退出した山崎の後を追おうとしていた森若さんに、専務は尋ねました。

「私の改革は、間違っていたと思いますか?」

「私は経理部員です。それを判断するのは、私の仕事ではありません。どこであろうと、どんな仕事であろうと、私は精一杯、自分の仕事をします。きちんと、イーブンに」

私だけじゃない。
きっとみんな、そうやって生きてる。

そんな森若さんの姿に、専務の頑なな気持ちは少しずつほぐれ、変わっていったのです。

その夜

太陽くんの香港出向は再び決定され、本人は少し落ち込んでいました。

「でも、専務に認められたってことだから、凄い。頑張って!」

森若さんの部屋のソファで、太陽くんは、意を決して言葉を紡ごうとしていたのです。

「沙名子さん…」
「はい?」
「一緒に…香港に…____来ないでください!…来ないでください、沙名子さん」

彼は、森若さんが専務に言った言葉に感動した、というのです。

「すっげぇカッコ良いじゃん!俺、全然敵わねぇじゃん、って」

だから、負けないようなカッコいい男になって還ってくるから、待ってて、と。

「その間に、好きな人ができちゃったら?」
「もう一回、隙になってもらえるよう頑張る」
「私にじゃありません!私にはできません。太陽くんに、もし、好きな人ができちゃったら…」
「何言ってんすか?できるわけないっしょ?」

太陽くんは、そんな森若さんをぎゅーっと、力いっぱい抱きしめたのです。

その頃。

勇さんは皆瀬さんと二人で夜景が見渡せる街の片隅で語り合っていました。

「専務に聞いたわ。あなた、私がこれまでに出した実績の資料、専務に提出してくれた…」

それでも異動になってしまった彼女でしたが。

ショールームをいかに盛り上げるか、無茶なノルマを課せられながらも、イキイキとしていました。

「見てて!私が担当するからには、メディアから取材が殺到するような人気スポットにしてみせるから!」

そして、すれ違ってしまった夫とのことも。

「ちゃんと話し合ってみる」

そう、前向きに言ったのです。

「でも待たないでね、私のこと」
「相変わらず高飛車だなぁ」
「そうじゃなくて。あなたが好きになってくれた私は、本当の私じゃない、ってこと」

本当の私は、きっとあなたの手には負えない…。

大人たちの恋は、終止符を打ってしまったのです。

新しい旅立ちに

「山崎部長!印鑑お願いします」

窓を背にした広いデスクに座っていたのは、山崎でした。

先日の大手の契約の功績により、鎌本を差し置いて超スピード出世をキメて、営業部長の地位をゲットしてしまったのです。

「あいつが部長…?!おかしいだろーーーー」

代理からヒラに戻された鎌本が愚痴りますが、希梨香が容赦なく「一ミリもおかしくない納得の人事です」とバッサリ。

「どっちが幸せなんだろう…好きなことをするのと、得意なことをするのと…」

突出した営業成績のグラフを見て、ため息ばかりの山崎ですが。
しかし、その椅子の座り心地は意外と悪くなさそうです。

その頃、沖縄では吉永部長が領収書のあれこれに突っ込みを入れまくっていましたが、その肌の色はそこはかとなく日焼けしており、なんだかんだで馴染み始めていたのが良く解ります。

その様子に「あいかわらずですねぇ」と笑う新発田部長。

パーティションのガラスの向こうでは、太陽くんを囲んで営業部の皆が笑っていました。

今日、彼は香港に旅立つのです。

しかし森若さんはいつも通りデスクに座って生真面目に業務を遂行していました。

勇さんが気遣って「行かなくていいのか?見送り」と聞いてくれました。

「業務時間中ですから!」
「え、なんで森若さんが?」
「付き合ってるから!」

あっさりとばらされてしまった森若さんでしたが。
勇さんもとまりません。

「隠すことないだろ!両想いなんだから!」

混乱している経理部の空気を読まず、太陽くんが入ってきて、森若さんに領収書を預けました。

「おねがいします!」
「…はい」
「じゃ!行ってきます!」

太陽くんも、さらりと経理部を出て行ってしまったのです。

その背後で、新発田部長たちは森若さんと太陽くんたちのことを勇さんから聞いて慌てました。

「行っちゃいますよ!」
「どうしますか、森若さん!」

それには答えず。

森若さんは一枚の領収書をガン見し、そこに付箋を貼って何かを書いていました。

そして、おもむろに速足で経理部を出て行ったのです。

みんなは、そんな彼女を笑顔で見送りました。

彼女の心の中には、お互いを意識し始めたところからの太陽くんとのあれこれがくるくるとめぐっていました。

営業部の皆に見送られてスーツケースにリュックの太陽くんが歩き出したところで、森若さんが追いつき、そして領収書を差し出して言ったのです。

「これは!経費で落ちません!」

そう言うと踵を返して戻る森若さん。
そして、旅立っていく太陽くん。

その手にあった領収書は、なんと金額が書かれていないまっさらなものでした。

そして裏には___「待っててくださいね! 山田太陽」。
森若さんの返事は、そこに貼られた水色の付箋___「待ってます。 経理部 森若」。

をれを見た太陽くんは、くしゃっと顔をゆがめて笑い、ほんの少しだけ泣きそうな顔になり、それでも前を向いて歩き出したのでした。



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【これは経費で落ちません!】最終回(10話)の感想

なんだこの超絶可愛いヒロインは?!

一話からしたら想像できないところに着地した森若さんと太陽くんのカップル!

とても三十路突破したカップルとは思えない初々しさで、正直、毎回キュンキュンさせられました。

上質の恋物語であり、そして素晴らしい職業ドラマでしたね。

経理部という部署は、会社の中でももっとも地味で、堅実さを求められる部署のはず。

しかし、そこで繰り広げられる小さな数字を追いかけるドラマが、時にサスペンスになり、時に笑いをもたらし、そして結果的に会社を救う知恵にもなる。

苦しいことの方が多い今の世の中に、こんな素敵な“普通の人”を描くドラマがあるなんて!

もちろん原作ありきではありますが。

ここに多部未華子さんや重岡大毅くんをキャスティングした人、素晴らしい!と思いました。

“森若さんと太陽くん”にふさわしいエンディングで、二人にしかわからないやり方で想いを伝え合ったというのが良いなぁ、と思った次第。

メールやSNSで、扱う言葉が軽くなってしまっている今、紙、しかも領収書を使ってそのやり取りをした、というのが太陽くんらしく、そして沙名子さんらしい。

素敵な10話でしたね。

出てくる人達みんなが魅力的でした。

スペシャルドラマで、太陽くんの帰還編とか見せて欲しいなぁ。

お別れに、ちょっと泣きそうだったところをぐっとこらえて笑う、そんな彼のいじらしさ、報われて欲しいじゃないですか!



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【これは経費で落ちません!】最終回(10話)の視聴者の声


↑そうそう、本当に地味なお仕事ドラマにおさまらず、とても楽しかった!


↑凄い役者さんて、オーラを出すより、消しちゃうんだな、って時々思います。


↑これ!この表情!重岡君凄いと思った…!


↑イーブンは大事だけど。森若さんは、やっと「素直になること」と「甘える」ことを知ったんだな、って改めて思った…。


↑映画で話題の某ドラマは全く違うシチュエーションでセカンドシーズンやるそうですが。やっぱ本物の続編、見たいよね!


↑ほんっとに皆さん素敵な笑顔!

まとめ

主人公の二人はもちろんでしたが。

真夕ちゃん・勇さん・麻吹さんといった経理部員の面々、そして部長sのオジさんたち、窓越しにいつも見える営業部のみんな。

個性豊かで賑やかな会社でしたね。

時々、ぴりっとシニカルな部分を挟みつつ、でも懸命に前を向いて笑ってお仕事している、本当にこんな会社があったら働いてみたいものだな、と思います。

横浜の街の中も、どんどん新しくなっているのがわかり、懐かしさもあいまって、すごく遊びに行きたくなってきました。

聖地巡礼、そうそう、二人が食べていた肉まんとか!

食べてみたいですね。

ひと夏楽しませてくれてありがとう、森若さん。

太陽くんとお幸せに。
そして、お仕事頑張ってください!



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